2014年9月30日火曜日

温かい笑顔は伝染する


みなさん、『パッチ・アダムス』という映画をご覧になったことがあるでしょうか。
ロビン・ウィリアムス主演のこの作品では、「元気」と「笑い」の効用をテーマにしています。





ご覧になったことのないひとのために、ちょっとだけ説明しておきましょう。

人生に絶望し、自殺未遂をして精神病院に入院したアダムスは、その病院で人生の転機となる出来事と巡り会う。

「笑い」が人の心を癒し、治療になることを知ったのだ。以来、アダムスは人を笑わせ、病んだ人の心を癒すことに生きがいを見いだし、堅く閉ざされた入院患者の心を次々に聞いていく。

そして、その特技を治療に生かそうと自ら精神科医になることを目指す。ざっとこんなストーリーです。

これは、現実にアメリカであった実話で、「温かい笑顔は伝染する」「笑顔は人のため、社会のためになる」ということを教えてくれる、まさに社会力の最高の教材のような映画です。パッチ・アダムス本人はその生涯を「笑いによる医療活動」に捧げ、その活動のために日本にも来ています。

この映画を観ると、「人に与える」ということが、社会力のひとつとしていかに大切なことなのかがよくわかります。「元気」とは、自分のためのみならず、人に与えるためのもの。人のため、社会のためにあるものなのです。

「笑顔」を与えられて「元気」が人から人へ伝えられていけば、社会全体が元気になっていきます。笑いが元気を生み、元気が社会力となる。パッチ・アダムスが夢見たのは、そんな元気(社会力)に満ちた世界だったのでしょう。

こうして考えてみると、「元気」とは、「元気になりたい」という目的ではなく、「人を元気にするためにどうするか」という手段 として語られるのが本来の姿なのでしょう。


その手段を持っている人は社会力が大きいのです。そして、人を元気にするため、社会を元気にするために、自分を元気にしようという手段が、結局その人の社会力となっているのです。

                    (ほんとうの社会力 辻 秀一:著)より