2010年7月18日日曜日

幸福に暮らす



 ひとりで食事できる女性が好きだ。世界中どこに行っても、気持ちのよいカフェやレストランでひとりで食事している女性に出会う。

 梅雨も終わりの祇園祭の京都。高瀬川沿いのイタリアンレストラン、隣の席に30代半ばのアメリカ人女性。注文したものを待っている間に、手紙を書いている。よく見る光景だが、日本人では見慣れない光景だ。いつも気になることだが、彼女たちは旅先で誰になにを書いているのだろうか。余計なお世話だ。それ以上は考えない。食事が終わると、手紙の続きを書き、本を読む。ひとりの時間を楽しめる力に微笑と敬意を。

 予定もなく電車に乗る。大阪の中心的なビジネス街から三条大橋まで1時間もかからない。川床でにぎわう鴨川沿いからすぐのところにイタリアンレストランがあった。見渡すと高瀬川沿いのオープンテラスの席に空きがあったので飛び込んだ。

 考えるよりも行動だ。
 そのご褒美なのか、蒸し暑さを風が取り除いてくれる。異国の町でひとりで食事している女性にはどんなご褒美があるのだろうか。ずっと以前、ニュージーランドの街で夕食をとっていたら、昼間カフェでひとりで食事していた女性が隣にいたので、そのことを知らせた。彼女は偶然を記憶していたことを素直によろこび、仲間を呼びいってパーティに招待してくれた。そこで建設会社の社長を紹介してくれて彼とも友人になった。
 大切なことは、幸福にしてもらおうと考えるのではなく、幸福にしてあげようと行動することだ。

降り続いた雨で水かさが増えた鴨川を見ながら、幸福のことを思い浮かべていたら、大好きな彼女に似た娘がチラシを配っていた。通り過ぎるほとんどの人が無視していたので、「チラシちょうだい」と手を差し出したら、笑顔がこぼれた。誰だって自分の存在価値を求めて苦しんでいるのだ。そんな時代に合った生き方があるはずだ。

 そうだ。ボクは大切な人を幸福にするのに忙しい。

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