2017年2月19日日曜日

『カンバセーション〜盗聴』孤独と不安に破壊される男




第27回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品
『盗聴~カンバセーション』


監督/製作/脚本::フランシス・フォード・コッポラ
出演者:ジーン・ハックマン、ハリソン・フォード、ジョン・カザール、アレン・ガーフィールド、エリザベス・マックレイ、フレデリック・フォレスト、シンディ・ウィリアムズ
音楽・デイヴィッド・シャイア
上映時間:114分




録画してあった映画を見ました。
カンバセーション〜盗聴』は1974年の心理サスペンス。

この映画の2年前の1972年、米国社会を揺るがすウォーターゲート事件が起こった。
ニクソン大統領の支持者が民主党本部に盗聴器を仕掛けようとして逮捕された政治スキャンダルが発生。
この事件をヒントにしたのか実にタイムリーな作品。

フランシス・フォード・コッポラといえば『ゴッドファーザー三部作』(1972.1974,1990年作品)、『地獄の黙示録』(1979年)が有名です。

スケールの大きさでは断然、見劣りしますが、狂気に入っていくプロセスが面白い映画でした。
楽しい気分になれないので興行的に成功しなかったのか、過小評価されているようようですが第27回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞で決めた感あり、現在では知的スリラーとして絶賛されています。

これを見てると、「ゾディアック」を思い出しました。
アメリカで実際に起きた連続殺人事件(ゾディアック事件)を追う男たちの人間ドラマ。事件にのめり込み自己破壊してしまう姿に共感しまくり。

盗聴~カンバセーション』も同じくです。
主人公が暮らしているアパートの部屋がミニマムリストなすっきりした部屋でレイアウト的にもホームオフィスのお手本。ほんとに美しい。

ラストシーン、その部屋と主人公の有り様に笑ってしまう。笑える状態ではないのですが、「ゾディアック」の主人公同様に不安と孤独に破壊されていく様がすごい。

物語

物語の場所は、大勢の人が行きかう真昼の広場。
複数の男がある1組の若い男女を監視、会話を録音している。
男たちのリーダーは盗聴のプロ、ハリー・コール(ジーン・ハックマン)。
彼らは政府や企業からの要請で盗聴、録音し報酬を得ていた。
ハリーは業界では知らぬ者のいないエキスパート、汚れ仕事だが誇りを持っている。
しかしそのせいで異常に神経質で恋人がいるのに結婚もできず孤独な暮らしをしていた。ある意味楽しんでいるように見える。
恋人役のエリザベス・マックレイという女優さんがセクシーでいい女ぶりを発揮している



ハリーは顧客からの依頼で盗聴したテープを届ける。受け取ったのは依頼主の秘書(ハリソン・フォード)。ハリーは違和感を感じて奪い返す。

それに対して秘書は「このテープは危険だ。誰かが怪我をするかもしれない」といってハリーの後をつける。ハリーは社内で盗聴した若い男女を見かける。ハリーはテープに疑問を抱き、なにが起ころうとしているのか気になる。しかし前後が分からずある一部分の会話しかないので、文脈が読み取れない。

ハリーは自分に「感じろ!」と叱咤激励する・・・・そして男女の会話の中に命が狙われている内容を見つけ、「事態」にどんどんのめり込んでいく。


デイヴィッド・シャイアの
音楽が不安と孤独を深めて決まっています。

シカゴ・サンタイムズのレビューでは、本作品のことを「簡潔にまとまった知的なスリラー」と賞賛。

主人公ハリー・コールの「基本的に悪人ではなく、自らの仕事を遂行しようとしているが、その仕事に起因する罪悪感と悪評に苛まされる」姿は、ウォーターゲート事件やベトナム戦争が齎した後遺症に苦しむ当時のアメリカ合衆国の縮図であると指摘。1995年にアメリカ国立フィルム登録簿に登録されそうです。


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