2015年10月7日水曜日

大衆文学の癒し〜鳴門秘帖

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幕府転覆の野望を抱く阿波の徳島藩主。10年前に潜入した隠密の世阿弥は行方しれず。真実をつかむため隠密で剣の達人法月弦之丞と阿波藩士たちの戦いを描く。絶体絶命の危機を何度も乗り越え阿波へ迫る弦之丞。阻むは阿波藩士と悪の三人組。弦之丞に想いを寄せるお千絵の恋は叶うのか、そして見返りお綱はどうなる……

多彩なキャラクターと痛快な物語にグイグイ引き込まれる大衆文学の傑作。






大衆文学とは、純文学と一線を画します「芸術性」よりも「娯楽性」に重きを置いている小説の総称。「娯楽小説」「娯楽文学」も同義語。その起源は江戸時代に遡り、明治維新後は幕末の事件、侠客や役者を題材にした作品が人気を得た。尾崎紅葉らによる「金色夜叉」(1897年)は昭和まで人気が続いた。

1883年(明治16年)に板垣退助が渡欧した際にユーゴーに会い、自由民権思想の普及のために国民に政治小説を読ませることを説かれ、板垣はたくさんの小説を持ち帰る。

これらの西洋の小説は翻訳、翻案されて、森田思軒「瞽使者」(1887年、ジュール・ヴェルヌ)、「塚原渋柿園「マンチェスターの叛乱」(1887年)や、黒岩涙香による「鉄仮面」(1892年)「巌窟王」(1901年)などが人気を得た。これらは児童文学におとしこまれ長く親しまれた。

1913年(大正2年)から執筆され、未完の大長編として有名な何度も映画化された中里介山の「大菩薩峠」も大衆文学の代表作である。今日も優秀な娯楽作品に与えられる直木賞は南国太平記』を書いた直木三十五に因んだもので、他にも大佛次郎鞍馬天狗』、林不忘丹下左膳』などの人気作品が生まれ、どれも何度も映画化され日本人のDNAに組み込まれた。

吉川英治文学賞で今日も栄誉を称えられることになっているが、その吉川英治原作の全六巻からなる伝奇ロマン鳴門秘帖」を映画化したものが、写真の東映映画1961年の作品「鳴門秘帖」だ。

この作品も何度も映画化されているが、原作は1926年8月11日から翌年10月14日まで、「大阪毎日新聞」に連載された。やはり何度も映画化された、中里介山大菩薩峠』、白井喬二富士に立つ影』と並ぶ、大衆文学を開拓した作品で、伝奇小説黎明期の傑作。1961年の本作も含めて5回映画化されている。最初は新聞掲載された同じ年の1926年に映画化されている。またTV化も4回されていて、1990年度のものが一番新しい






疲れたときに最適の伝奇ロマン。海外のスパイ物と違ってストーリーが複雑でないのも癒しにいいです。これは文豪吉川英治原作の全6巻からなる長編ロマンを前後編で映画化したもの。風雲将棋谷、髑髏銭などタイトルだけでも血湧き肉躍るワクワクする昔チャンバラムービーのひとつ。

それにしても昔の女優さんは所作も含めて本当にきれいです。もっと遡って戦前・戦後すぐの作品でもため息が出るような人に出会えます。

「鳴門秘帖」前編・完結編 2巻併せてAmazonに出品しました。新品同様のコレクターアイテムです。






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