謝国権によるハウツー本 。謝国権(2004年他界)氏は台湾出身の三男と生まれた日本の医師(産婦人科)である。医学博士。奈良林祥、ドクトル・チエコとならぶ日本の性医学評論のパイオニアとして知られる。
1960年(昭和35年)に池田書店が出版。売れに売れ、版元の池田書店は自社ビルが建ったというベストセラー。
同書を原作として1961年(昭和36年)に大映東京撮影所が劇映画として映画化しています。映画は、当時の「映画倫理管理委員会」が成人映画に指定し、18歳未満の鑑賞を制限した。1時間程度のB級作品ながら、続編も制作された。ピンク映画のヒットが1963年なので、その前夜的な作品だったのかも知れません。
性生活の知恵
続 性生活の知恵
性生活の知恵
- 第一章 結婚と性生活 - p.19
- 第二章 男性と女性の性生理 - p.28
- 第三章 性交への誘い - p.49
- 第四章 性交とその態位 - p.59
- 第五章 性交との訣別 - p.124
- 第六章 男性のために - p.127
- 第七章 女性のために - p.170
- 第八章 青年期の性 - p.219
- 第九章 家族計画の必要性 - p.244
- 第十章 妊娠しない期間の見つけ方 - p.253
- 第十一章 受胎調節法の実際 - p.260
- 第一章 これからの性教育 - p.13
- 第二章 これからの性生活 - p.81
- 第三章 疲れない性交態位 - p.127
- 第四章 初夜の不成立を避けるために - p.188
- 第五章 新しく寝室を作る人のために - p.253
なぜこの書籍がそれほど大ヒットしたのか、その意味は文化的に重く、農耕社会特有の言い伝え文化の終焉と核家族化の始まりだった。その歴史はいまも継承されABCクッキングの成功とも無縁ではないのではないでしょうか。その意味で 「スポック博士の性教育」とは趣が異なる。
「スポック博士の性教育 」原題はティーンエイジャーのためのライフとラブの手引きですが、暮らしの手帳社を経由すると雰囲気が変わってしまいました。「スポック博士の育児書」はいまもロングセラーを続けていますが、こちらは現在新刊で入手はできません。
それにしても生きることの中心に愛とセックスを据えたスポック博士の脳には性教育というおごりはありません。自分の頭で考えうる愛に満ちた生活を大切にしてほしいと願いをこめて書かれた一冊。
愛に満ちた生活を当たり前のことと捉えている点で、発刊当時は十代の若者より大人にとってセンセーショナルだったかも知れません。高度成長期の大人にとって次元の違う生き方の提案だったからです。
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